2024 年 92 巻 1 号 p. I_1-I_12
本研究では,我が国の公共用水域で長期間蓄積された月1度の河川水質モニタリングデータに基づく年河川負荷量の推定に対して,不偏推定量であるHT推定量と精度の高い推定量であるBCREそれぞれの妥当性について検討を行った.対象とした水質項目はTNとTPで,対象河川は揖保川である.揖保川での月1度の低頻度水質データと米国の日単位水質データを利用して日単位の揖保川の水質データを合成して解析に供した.解析の結果,単年度データに基づく年河川負荷量あるいは10年間の長期データに基づく平均の年河川負荷量の推定の両方で,HT推定量の信頼区間は期待される信頼水準で真値を含むことができないため,BCREを年河川負荷量の推定に利用すべきことが示された.