ため池堤体斜面に被覆敷設した鉄線かご枠石詰め層に生じる越水流れの水理解析法を開発し,その実務性を,実際の法こう配を想定した20°および30°の傾斜水路における越水実験により検証した.越水が起きると,石詰め層内を被圧浸透するスルーフローと層の上を流下するオーバーフローが生じる.力学的に安全な被覆構造体を設計するには,これら越水流れの水理挙動を定量的に把握する必要がある.スルーフローに対し有限要素法による非線形浸透流解析を,オーバーフローにはspatially varied flowの数値積分法を適用し,これらを連結して,フロー間の局所的な流量交換と大きな斜面こう配の効果を考慮した水理解析法を開発した.その計算値は,越水実験で測定された流況と良好に対応した.ため池堤体の越水保護工として期待されるガビオンマットレスの水理解析に向け,技術検討課題をまとめた.