現在農業者の減少が進行しており,担い手不足という課題に対して,農業基盤を維持するため担い手への農地集積が進められている.このことで国内の農業構造が変化しつつあるが,現行の用水計画においては,営農形態の変化による影響は考慮されていない.そこで,農地集積率が約70%である末端開水路地区を対象地として,用水配分状況と農作業進捗について詳細な調査を行うことで,大規模経営体が行っている主食用米の複数品種の団地化と転作ブロックの配置が地区内の用水配分に与える影響について考察した.大規模経営体による複数品種の団地化によって,小用水路ごとの代かき作業の時期を明確に分けられることが分かった.大規模経営体による作付け品種の団地化は,今後農地集積がさらに進んでいく状況においても,水不足発生抑制に有効な手法である.さらに,転作ブロックの配置が水不足発生抑制につながる可能性が示唆された.