表面含浸材の効果は塗布基板の状態によって変化する可能性が指摘されている.本研究では, 含浸材施工時における基板の含水状態が含浸材のスケーリング抑制効果に及ぼす影響を実験的に検証した.具体的には, 含水比を0%, 4%, 6%に調整したモルタルを塗布基板として, それぞれの条件における含浸材のスケーリング抑制効果を比較した.その結果, シラン系含浸材を単体塗布する場合は基板の含水比が6%と大きい条件で, けい酸塩系含浸材とシラン系含浸材を併用塗布する場合は基板の含水比が小さいほど, スケーリング抑制効果が低下した.すなわち, 含浸材の種類によって適切な乾湿条件が異なる傾向がみられた.ただし, 含水状態による性能低下を考慮しても, 含浸材無塗布の場合と比べると, 含浸材を塗布することによってスケーリングが顕著に抑制されることも確認された.