本研究では,集落営農組織におけるスマート農業技術の導入前段階において,事前条件と情報探索行動が知識獲得および態度形成に与える影響を,導入群と未導入群の2群比較により実証的に明らかにした.結果,経営耕地面積の大きさおよび外部との接触機会の多さが,周辺農家の事例観察や高評価の聴取機会を増大させ,知識獲得を促進することを示した.また,導入群では省力化・軽労化や非熟練者・若手人材活用への期待が高く,未導入群では農地条件に適合しない機械サイズへの懸念が顕著であることを示した.さらに,多額のコスト負担への懸念は両群に共通した課題であると認識された.普及施策として,集落連携による機械共同利用支援や外部作業委託補助の拡充,地域特性に即した圃場見学会・試験導入を含む直接体験機会の実施,小規模・条件不利地向け省力化特化型小型機の開発促進が必要である.