1991 年 1991 巻 155 号 p. 101-107,a2
現行のダム設計基準では,理想的な貯水池形状を仮定して動水圧を算定している。境界要素法の適用によりこの制約緩和を試みた。つまり,形状を規定する各種パラメータを変化させ,2・3次元(2・3D)解析を行い,両者を比較することで堤軸方向の3D効果,逆にいえば2D解析の適用可能性を検討した。その結果,1)両岸が平行でかつ鉛直に切り立っておれば,堤体上流面の傾斜によらず堤軸長や同方向の位置の影響は微小で,水面にきわめて近い部分を除き2D解も十分良好なこと,2)ポケットの開き角度が増加するにつれ2D解析の適用可能領域は狭まるが,堤軸長が長いほど同領域は広がること,3)谷は急峻なほど2D解の信頼性が高まること,がわかった。