1991 年 1991 巻 155 号 p. 69-76,a2
土壌中に富栄養水を長期に流すと,土壌微生物が増殖したり微生物の代謝生成物が蓄積して,土の透水係数が低下する現象は,土壌による水質浄化機能の発現に関わり,また広く自然環境と水循環の関係を知る上でも重要であると考えられる。本研究は,母材が共通していて,しかも長年にわたって異なる土地利用形態で使用されてきた圃場の土を深さ別にサンプリングし,経時的に殺菌水または富栄養水を流しておのおのの透水係数の変化を調べ,それらの結果から土壌微生物の動態を考察したものである。なお,土地利用形態としては,90年以上自然状態で保存されてきた関東ローム土壌ブナ林地,それに隣接して20年以上耕作され続けた水田および畑地を選んだ。