1994 年 1994 巻 173 号 p. 59-69,a2
水利施設(水門・堰)によって制御された開水路定常流の水理学的ネットワークモデルを提示する. モデルは,水路部,水門部および分合流部からなり,それぞれは漸変流方程式,急変流を表現する半経験的流量水位関係式およびエネルギ方程式により記述されるとする. ニュートン・ラフソン法による反復求解を可能とするため,流出形態に応じて変化させる必要のある流量水位関係式の間には関数的連続性が存在するよう特別の工夫をほどこす. いくつかの解析事例を通じて,モデルは複雑な開水路網に対しても比較的少ない反復回数で高精度な解を生み出し,安定性,適応性,汎用性,効率性のあらゆる面で優れた特性を有するものであることを示す.