水耕下のダイズ根のNa⁺およびCl^-の通過現象

抄録

塩類土壌の改良目標を明らかにするため,水耕中のダイズの茎基部に吸引圧を作用させ,根系に入工的に水フラックスを生じさせたときの根系におけるNa⁺およびCl^-の通過現象を調べた. その結果,蒸散流濃度係数はすべての実験条件下で1以下になったが,その係数は培養液に溶解しているNaClの量によって変化した。このことから蒸散流濃度係数は根の生理作用に依存することがわかった. 溢泌液の流出速度は,茎基部に作用させる吸引圧と培養液と溢泌液の濃度差で生じる浸透圧の和が駆動力となるとすると,その駆動力に比例することがわかった. さらに根系のイオン通過速度と溢泌液の流出速度の間に高い相関性があることがわかった。