造成農地流域で3年間,2週に1度の間隔で測定した定期水質データと,3度の降雨流出調査時の水質データをもとに,主成分分析を用いて流出成分の分離を行った.分離に用いた水質項目は溶存性のHCO3-,NO3--N,Na+,K+,Ca2+,Mg2+,Cl-,SiO2,SO42-の9つである。水質情報をもとに流出水を雨水・土壌流出水・地下流出水の3成分に分離し,水質形成機構についても考察した。
その結果,1)流出水の水質変動には土壌流出水の水質変動の影響が大きいこと,2)主成分分析を用いた成分分離が調査流域では有用であること,3)流出水の水質変動は,施肥項目とそれ以外の項目の変動が大きな2つの要因であること,4)降雨流出時の地下流出水成分の占める割合は10%強であることなどがわかった.