抄録
種々の傾斜畑における潅概用水量を算定するために,土壌・植物・大気連続体(SPAC)モデルの作成を行った.本モデルは放射環境推定モデル,土壌中の水分・熱移動モデル,作物による水分吸収モデルの3つのサブモデルから構成される。モデルを検証するために,傾斜角20° の北向き斜面,南向き斜面および水平面の3種の実験圃場を作製し大豆の栽培実験を実施した.播種後2カ月にわたり蒸発散量に関与する気象因子,土壌水分,土壌温度の測定を行った.シミュレーションの結果は裸地面,植被面ともに実測値とよい一致を示した。植被の有無にかかわらず南面は北面に比べ顕著な土壌温度の上昇を示し,南面の蒸発散量は北面の約1.5倍を示した.