農業土木学会論文集
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農業用ため池の水質実態と主成分分析による評価
京都府, 滋賀県, 奈良県内の複数のため池を事例として
長坂 貞郎堀野 治彦渡辺 紹裕丸山 利輔
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1998 年 1998 巻 194 号 p. 321-327,a3

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抄録

京都府京田辺市にある7つの農業用ため池において水質調査を行った. ため池は集水域の土地利用によって次の3つに分類できる.(1) 山林型: 集水域がすべて山林であるため池,(2) 農地型: 集水域に農地を含むため池,(3) 市街地型: 市街地排水が流入するため池.
T-N, T-P, CODの平均濃度は, 山林型, 農地型では低濃度であった. 山林型では, 濃度変化は小さかった. 農地型では, 潅漑期初期に顕著な濃度変化がみられた. 無機態窒素および無機態リンの濃度は, 非潅漑期と比較して潅漑期に高い値を示した.
主成分分析を用いて, ため池の水質特性を抽出した. 用いたデータは, 京都府, 滋賀県, 奈良県の47のため池における5水質項目 (pH, EC, T-N, T-P, COD) である. 山林型, 農地型および一部の市街地型のため池において, 有機物量と蒸発残留物量は正の相関があった. 正の相関関係のない池は, 貯水容量に対する受益地面積の割合が高い傾向があった.

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© 社団法人 農業農村工学会
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