抄録
豊浦砂 (ρd=1.609/cm3) の熱伝導率λの塩類依存性を調べるために, 最初に塩類を含まない豊浦砂のλを種々の水分・圧力・温度条件のもとプローブ法で測定し, λの圧力・水分・温度依存性を明らかにした.また, 気圧の逆数とλの関係から, 気圧が無限大の時の見かけの熱伝導率を外挿し, 見かけの熱伝導率λを顕熱輸送の熱伝導率λcと潜熱輸送の熱伝導率へに分離した.
次に, 塩類 (NaCl, CaCl2, Na2SO4) を加えたλを測定し, λ, λc, λv, への変化を調べた.λはNaCl, CaCl2を加えると塩類濃度3mol/lのとき最大約10%低下し, Na2SO4では0.5mol/lで最大約15%低下した.また, Noborio and Mclnnes (1993) の式は, λの変化の傾向を概ね表現できた.λvは塩類濃度が高まるにつれて急激に低下し, 1.0mol/l以上では確認されなくなったが, λcはほとんど変化がなかった.この結果, 塩類を加えることでλが低下するのは, 塩類が土壌の水蒸気圧を低下させ, λvが低下するためであることがわかった.