本報では, 畑地かんがい事業費の効率的な運用を目的として, ポンプ送水地区における水利用の計画値と実態との相違に関する現地調査を行い, それに基づいた水利施設の段階的整備方式を提案したものである。本報は, 事業の実施計画に視点を当て, 事業を実施した場合の総合的経済性を, 建設費用と維持管理費用を加えた総経費の節減という視点から実務面で使用される積算単価を用いて検討し, 段階的水利施設整備を実施した方が有利となる設計条件を管口径とポンプの実揚程にて評価することを試みた。その結果, 高揚程の地域 (実揚程で80m以上) では, 今後, 事業実施体制をも含めて地域条件に応じた段階的水利施設整備方式の導入を検討する必要性が確認できた。