抄録
異常少雨により必要水量に不足を生じた場合, パイプラインによる水田潅漑地区では配水管理者の意志どおりに配水するために多くの困難が生じる.本研究は, 1994年に発生した異常少雨時の北陸地域での調査結果を基に, 以下の問題点の抽出と対策を検討した.(1) パイプラインによる水田潅漑地区39地区の管理者へのアンケート及び現地調査から渇水時の水管理の問題点を抽出した.(2) タンクモデルを利用した圃場レベルの用水量推定手法を提案した.このモデルにより調査地区の潅漑期降水量は平年の27.1%であったのに対し, 圃場地点での用水充足率は70.6%であったことが判った.(3) 管網シミュレーションと実際に採られた渇水対策結果を基に, より合理的な渇水時の水管理手法の提案を行った.その際, 施設に軽微な改良を伴う場合と伴わない場合に区分した.