抄録
火山灰地域の砂礫水田模型 (3層構成: 作土, スキ床, 心土層) を作製し, 稲を植え, 施肥をした条件下で心土層の浸透型のみを開放浸透と閉鎖浸透に変えた場合の物質動態を究明した. この結果より, 降下浸透水中の硝酸, 亜硝酸, 鉄, マンガンの各イオン濃度及びDO濃度は, 閉鎖浸透層に比べ開放浸透層で高まる傾向が認められた. 速効性肥料であるカリウムの降下浸透水中の濃度は, 施肥後約50日間は作土・スキ床層中でその値を高めるが、その後はどの層の値もほぼ類似したものとなった. 湛水中の全窒素濃度は, 実験開始後約60日間は排水の濃度に比べ低い値となった. それ以降はほぼ同じ値となった. 全リン濃度も同様の結果であったが, 排水濃度の高まる期間は30日間程度であった.