抄録
東北地方に多い中小規模の扇状地河川の一例として, 岩手県豊沢川を取り上げ, 航空写真判読を主とした河道変遷調査を実施した. この規模の河川は, 河床の縦横断測量や災害履歴の記録も未整備で, 河川資料から当該河川の河道変遷を明らかにすることは困難な場合が多い. そこで, 昭和22年に始めて撮影されて以来, 少なくとも10年に1度くらいは撮影されている航空写真の比較判読によって, 自然河川に近かった豊沢川が人工改修河川に変わっていく様子や整備された低水路内での砂礫堆形成と経年的な変化, 典型的な河道災害状況など, 中規模の扇状地河川の河道変遷の実態を明らかにし, 同時に, 航空写真の比較判読を主とする調査の有効性を例示する.