抄録
河川の水質を管理するためのロバスト最適化 (RO) モデルを提案する. ROは解ロバストネスとモデルロバストネスを定義し, モデル中のデータの不確実性が最適解に与える影響を制御するという特色を持つ. ここでは, 河川の流量, 水深, そして水温の3個のパラメータが確率的に変動すると仮定し, 複数のシナリオを想定する. 汚水排出口からのBOD総負荷量の期待値, 解ロバストネス, モデルロバストネスの最大化を目的とする. 制約条件は, BODとDOの輸送方程式を有限要素法によって離散化した式, 河川における水質環境基準および排水基準からなる. 排出されるBOD負荷量の最適な配分法を, 河川流れのシミュレーションを行なった後, 多目的重みの値を変化させてROモデルを解くことにより決定する. ROモデルを仮想河川に適用することにより, 本モデルが従来の確率計画モデルより代替案の作成に有効であることを示す.