農業土木学会論文集
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2000 巻, 207 号
選択された号の論文の18件中1~18を表示しています
  • 高木 東, 堤 聰, 増本 隆夫, 塩野 隆弘
    2000 年2000 巻207 号 p. 293-301,a1
    発行日: 2000/06/25
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    造成直後から4ヶ月間にわたり農地で行った侵食実態調査の結果に基づき, この間に発生した比較的規模の大きな数回の降雨によるリルの形成およびリル網の形成・発達を追跡した. 更に, 河道網に関するStrahlerの次数化法を援用して, リル網の幾何学的特性を時系列的に把握した. その結果, 対象とした全ての圃区において, 早い時点で樹枝状 (tree) の構造を持ったリル網が形成したことが分かった. またきわめて短期間ごとのリル網の発達の様式が分かった. 調査の最終時点では, 何れのリル網においてもHertonの河道数則に相当する規則性が比較的強くみられた. しかし, 一部のリル網を除き, Hortonの河道長則に相当する規則性はみられなかった. 更に, リルの形成とリル網の発達に影響を及ぼす要因について検討した.
  • 中野 拓治, 川田 明宏, 堀込 英司, 北尾 高嶺
    2000 年2000 巻207 号 p. 303-311,a1
    発行日: 2000/06/25
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    供用を開始している農業集落排水施設の流入汚水データを用いて, 農業集落からの生活排水における流入負荷量について, 非超過確率分布へのあてはめ等を通じて分布特性を把握するとともに, その変動要因等の検討を行った。流入汚水における一人当たりの汚濁負荷量は, 汚濁物質濃度との双曲線関数を用いて定式化できるとともに, 流入汚水の汚濁物質濃度は, 一人当たりの日流入汚水量と逆比例の関係にあり, 反比例関数式により定式化を図れることが分かった。また, 流入汚水のBODは, SS由来のものとほぼ一定の溶解性BODで構成されているとともに, 流入物質の窒素成分にも大きく依存しており, 流入汚水のT-Pによっても推定できることが確認できた。流入負荷量は, 農業集落排水事業地区における一人当たりの日平均水道使用量に基づき計画値を適切に設定できることが示唆された。さらに, 計画流入負荷量についても, 75%非超過確率値や上限値の算定等を通じて, 設計諸元としての妥当性の検討を行った。
  • 朴 鐘華, 甲本 達也
    2000 年2000 巻207 号 p. 313-319,a1
    発行日: 2000/06/25
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    自然粘土および鉱物粘土を用いて, 収縮定数試験を行い, 収縮定数の一つである収縮限界と他のコンシステンシー限界値およびpHとの関係を検討した. その結果, 以下の事柄が明らかとなつた.(1) 収縮限界はカオリナイトのほうがベントナイトより著しく高く, ベントナイトを多く含む土ほど低い.(2) 塑性指数Ip<100の範囲では, 収縮指数Is (=塑性限界wp-収縮限界ws) はIpに比例して大きくなり, Ip>100の範囲では, IsIpによらずほぼ一定となる.(3) 液性限界wLはほぼpHの2乗に比例して増大する.(4) IsとpHとの間には, ほぼ比例関係が成立する.
  • 森井 俊広, 井上 光弘, 竹下 祐二
    2000 年2000 巻207 号 p. 321-329,a1
    発行日: 2000/06/25
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    圃場飽和透水係数を測定する方法として, 単一リングからの定水頭浸潤理論にもとつくプレッシャーインフィルトロメータ法が広く用いられている.試験方法は非常に簡単で, 装置も単純である. 本研究では, 細粒分をあまり含まない砂からなる圃場を対象に, プレッシャーインフィルトロメータ法の測定精度, ならびに測定の対象となる土壌領域の深さについて検討した. まず, プレッシャーインフィルトロメータ法により圃場飽和透水係数を測定し, これを, 同一地点から採取した100cc定容積の土壌コアの透水係数と比較した. 142地点での測定から, 平均値でみて, 27%ほど高めの結果がえられ, 実用的な測定精度をもつことが確認できた. 次いで, 有限要素法を用いた数値計算により, 土壌の測定対象深さを調べた. 定水頭10~20cmの条件に対し, 測定深さは土壌表面から20cm程度になることを示した.
  • ジオグリッドを用いた大口径パイプラインの浅埋設実証試験
    毛利 栄征, 藤田 信夫, 笠原 和正, 水上 徹
    2000 年2000 巻207 号 p. 331-340,a1
    発行日: 2000/06/25
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    本研究では大日径パイプラインを地表面のごく浅い位置に埋設し, その土中挙動とジオグリッドによるパイプラインの浮上防止方法の適用性を明らかにした。実証試験では直径2400mmの大口径の可撓性パイプを1.5mの土被りで矢板施工によって埋設している。施工過程におけるパイプの挙動とともに, 地下水位上昇に伴う浮力増加過程でのパイプの挙動メカニズムを議論している。1年間の長期計測の結果, パイプの変形量は直径の1%以下で安定しており, ジオグリッドに作用する力もその引張強度の1/10程度であることが明らかとなった。ジオグリッドで包み込まれた埋戻し材は施工過程でも高い支持力を維持し, 大きなパイプの変形掬制効果を有している。また, ジオグリッドを用いた浅埋設工法は直径の6割程度の浅い土被りでも大きな浮上抵抗力が得られ, 安定していることが明らかとなった。
  • 集落排水処理の自動制御システムに関する研究I
    端 憲二, 金 瑩中, 本間 新哉
    2000 年2000 巻207 号 p. 341-350,a1
    発行日: 2000/06/25
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    長時間曝気方式を対象として, 曝気時間と非曝気時間を固定し, 曝気時間内のDO濃度を一定に制御する方式について実験を行った。DOを2mg/lに定値制御した場合, 硝化の完了とORPのピークが一致することを見い出した。本研究で見い出した硝化の完了と従来から明らかにされている脱窒の完了時点をORP曲線から検出することによって, 窒素除去のための最適な自動制御が可能である。硝化及び脱窒の完了点がともにORP曲線上に現れた場合は, 窒素除去率は90%以上であった。また, 流入負荷に変動を与えても, T-N, BOD, COD, TOCについて安定した処理性能が得られた。さらに, DO定値制御間欠曝気の曝気時間の調節によって, 曝気に要するエネルギーを節減できた。
  • 集落排水処理の自動制御システムに関する研究II
    金 瑩中, 端 憲二, 本間 新哉
    2000 年2000 巻207 号 p. 351-359,a2
    発行日: 2000/06/25
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    硝化が終了した時と脱窒が終了した時にORP曲線上に現われる屈曲点の検出により曝気を開始及び停止する自動制御システムを開発した。本システムは曝気と非曝気を適切に調節し, 1つの曝気槽内に好気, 無酸素, 絶対嫌気状態 (DOとNOx-Nがない状態) を順次に起こし, 特に硝化完了を検出することによって生物学的窒素除去のための必要十分な曝気を可能にするものである。その結果, 窒素は93.0%~95.9%の高い除去率を示した。その他にBOD, COD, TOCも各々97.9%~99.0%, 89.4%~95.4%, 91.1%~96.6%の高い除去率を示し, T-Pの場合も余剰汚泥の引き抜きにより最高85.1%まで除去可能であった。
  • 国営東伯農業水利事業西高尾ダムの事例
    宮本 幸一, 藤山 英保, 山本 太平
    2000 年2000 巻207 号 p. 361-368,a2
    発行日: 2000/06/25
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    西高尾ダムは, 上流に畜産団地や飼料畑があり湖水の富栄養化が懸念されている. 現時点の水質は富栄養化湖沼に分類され, アオコの形成等が生じ得る状況にあるが今までのところ認められていない. このような状況が維持されているのは, 本ダムでは各年度末にダムに残存する貯水を落水する「期末放流」が行われており, このダム運用方式が貢献しているものと想定されている. そこで, 期末放流の効果を含めて今後の水質動態を検討するため, 生態系モデルを作成した. このモデルを利用した期末放流無しのケースの検討結果によると, 現行のダム運用に比較し, ダムへの流入水量のうち貯留される量が年平均で26%程度減少するため, 外部流入負荷が減少しCODについては平均濃度は現状とほぼ同様であるが変動幅は減少した. T-Nは湖内に順次蓄積され年を追って増加し, T-Pの変化は少ないことが判った.
  • 前田 滋哉, 河地 利彦, 奥村 博司
    2000 年2000 巻207 号 p. 369-374,a2
    発行日: 2000/06/25
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    河川の水質を管理するためのロバスト最適化 (RO) モデルを提案する. ROは解ロバストネスとモデルロバストネスを定義し, モデル中のデータの不確実性が最適解に与える影響を制御するという特色を持つ. ここでは, 河川の流量, 水深, そして水温の3個のパラメータが確率的に変動すると仮定し, 複数のシナリオを想定する. 汚水排出口からのBOD総負荷量の期待値, 解ロバストネス, モデルロバストネスの最大化を目的とする. 制約条件は, BODとDOの輸送方程式を有限要素法によって離散化した式, 河川における水質環境基準および排水基準からなる. 排出されるBOD負荷量の最適な配分法を, 河川流れのシミュレーションを行なった後, 多目的重みの値を変化させてROモデルを解くことにより決定する. ROモデルを仮想河川に適用することにより, 本モデルが従来の確率計画モデルより代替案の作成に有効であることを示す.
  • 國光 洋二, 松尾 芳雄, 友正 達美
    2000 年2000 巻207 号 p. 375-383,a2
    発行日: 2000/06/25
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    本稿では, 農村公園整備の費用便益分析について, CVM (Contingent Valuation Method) による計測手法を提案し, その適用性を検討した。事業完了19地区を基に分析した結果, 第1に, 農村公園のCVM評価額は, 有効回答数の極端に少ない地区を除き, 調査・分析段階での変動可能性が低く, 評価の安定性が期待できること, 第2に, CVM平均評価額は, 最大提示額による切断平均値をそのときの受諾率で修正して求めるとともに, アンケート調査の設計段階から個人の所得や属性を考慮して分析できるよう配慮することが事業地区への適用上望ましいこと, 第3に, 受益範囲の設定が費用便益分析結果に大きく影響するので, 例えば, 類似公園の立地状況から地図上で受益範囲を制限する方法が有効であること, 最後に, CVMによる農村公園の便益は, 整備内容を規定する事業費との相関が低く, 現在の土地改良事業計画で行われている環境整備効果を整備費で代替する手法が不十分なこと, が明らかとなった。
  • 北辻 政文
    2000 年2000 巻207 号 p. 385-392,a2
    発行日: 2000/06/25
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    本研究の目的は, ごみ溶融スラグ (以下MSWスラグという) 微粉末のコンクリート用混和材として利用の可能性について検討することである. 実験では, コークスベッド方式により製造されたスラグを比表面積が約4,000cm2/gになるようにボウルミルで微粉砕し試料とした. 研究では, MSWスラグ微粉末の品質およびこれを用いたモルタル・コンクリートの諸性質を検証した. 研究の結果, 次のことが明らかとなった.(1) MSWスラグの鉱物組成は, 高炉スラグと類似しているが, 異なる点として全アルカリ量が多い.(2) MSWスラグ微粉末からの重金属の溶出は少なく安全である.(3) MSWスラグ微粉末は高炉スラグ微粉末と同等の特性 (フロー値, 安定性, 凝結時間, 初期水和熱, 強度, 耐凍性) を有する.
  • 吉田 勲, 村山 育生, 木下 仁志, 北本 豊
    2000 年2000 巻207 号 p. 393-398,a2
    発行日: 2000/06/25
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    本研究では生ごみ分解に活躍する微生物群の活動の遷移および微生物の同定の検討を行った. その結果, 以下の点が明らかとなった.(1) 生ごみ分解機に生ごみを投入すると, 投入3時間後に生菌数は最大となり, 以後, 漸減した.(2) 生ごみ投入直後は運動性の桿菌が優勢であるが, 有機物の分解が進むにつれて非運動性の球状桿菌の割合が増加する.(3) 分解に関与する細菌群は40℃で良好に生育し, 60℃では生育できない中温菌と推定された.(4) 生ごみ分解に活躍する微生物は桿菌Bacillus属に属する.
  • 三原 真智人
    2000 年2000 巻207 号 p. 399-404,a3
    発行日: 2000/06/25
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    本研究では, 通水孔構造の拡大程度の違いが土壌懸濁水の流量に与える影響について比較検討した。また北海道女満別に位置する浸透性沈砂池に通水孔構造の異なった有孔暗渠管を埋設し, 各々の暗渠管からの排水量を比較して, 流れ方向に向かって半径が拡大する拡大径型の通水孔を持った暗渠管の有効性を現地で検証した。
    通水孔構造による土壌懸濁流の変化を調べた結果, 一定半径の通水孔と拡大構造の通水孔において明確な差が生じ, 全体を通して拡大構造の通水孔を通過する流量は一定半径の通水孔を上回る傾向が見られた。また現地の浸透性沈砂池において流入水と暗渠排水の流量を調べた結果, 浸透性沈砂池への懸濁水の流入開始から4時間までは拡大径型の暗渠排水量は一定径型と同程度であったが, 5時間経過後, 拡大径型からの暗渠排水量は一定径型を大きく上回る結果となった。これらの結果より, 暗渠排水機能の低下を最小にするため, 拡大径型の通水孔構造を持っ有孔暗渠管の有効性を評価できた。
  • 山本 太平, 藤山 英保, 宮本 幸一, 畑中 淳
    2000 年2000 巻207 号 p. 405-412,a3
    発行日: 2000/06/25
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    鳥取県東伯農業水利事業地区内の岩坪池と鳥取大学乾燥地研究センターの砂丘湧水池を利用してマイクロ灌漑施設における数種のフィルターとエミッターに対する藻類の目詰まり障害について検討した. 5種類の藻類においてクロロフィルa濃度と濁度または懸濁質濃度との間には比較的高い相関関係がみられた. 富栄養化した岩坪池水の場合はアオコ, 鞭毛藻類, 珪藻類の大きさがフィルター濾材の目開き口径より小さかったが, 体積型フィルターでは面積型フィルターに比べエミッターの目詰まりが若干減少した. 良質な砂丘湧水では無蓋構造の貯水槽において灌漑期間中アオミドロが発生した. 面積型の金網フィルターではアオミドロの除塵が十分でなかった. 体積型のサンドフィルターでは灌漑期間が短い場合アオミドロが除塵されエミッターの目詰まりが減少した. 長期間の灌漑期間ではアオミドロが濾材の砂層部分に吸着して自動逆洗できず, 数ヶ月毎にフィルター砂層部の点検と洗浄を必要とした.
  • 山岡 賢, 端 憲二, 小泉 健, 吉田 弘明
    2000 年2000 巻207 号 p. 413-414,a3
    発行日: 2000/06/25
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    天日乾燥床は, 動力を要さず, 汚泥を脱水・乾燥できる. 天日乾燥床に沈殿槽や回分槽から直接汚泥を移送して脱水・乾燥を行えば, 汚泥処理のために設けられる濃縮槽や貯留槽を省くことができるとともに, 悪臭の軽減につながる. しかし, 沈殿槽や回分槽から移送した汚泥は, 濃度が低く, 天日乾燥床内で容易に固液が分離して, 床内の砂層表面に汚泥層を形成し, 汚泥層の上部に余水が滞留し, 脱水・乾燥を阻害する.
    この対策として, 筆者らは, 天日乾燥床の砂層内に散気口を設置することを考案した. この方法は, 砂層表面に形成された汚泥層の一部を散気口から出される気泡に破壊させ, 汚泥層の破壊された部分から砂層を経て水を速やかに排除させようというものである.
  • 秋吉 康弘
    2000 年2000 巻207 号 p. 415-416,a3
    発行日: 2000/06/25
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    中山間地域に施工される矩形断面水路は, 急勾配でわん曲する場合が頻繁に生じてくる. この時, 上流急勾配水路を流下する高速流は, わん曲部にて側壁に衝突してジャンプし, 流水は側壁を溢水し飛び出してしまう. そこで, 矩形水路のわん曲部から下流の水路側壁を半円構造とすることで, この高速流が側壁に衝突してジャンプする上向きのエネルギーをらせん流の回転エネルギーに変換させ, 急勾配でわん曲する水路内の流水をスムーズに流下させる新しい水路構造を開発した. このらせん流水路 (仮称) は, 水路付帯構造物との組合せを必要とせずに流水制御が可能になり多大なコスト縮減を図ることができる.
  • 吉野 秀雄
    2000 年2000 巻207 号 p. 417-418
    発行日: 2000/06/25
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
  • 稲垣 仁根, 小倉 邦雄, 寺川 吉博, 近藤 文義
    2000 年2000 巻207 号 p. 419-423
    発行日: 2000/06/25
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
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