本稿では, 農村公園整備の費用便益分析について, CVM (Contingent Valuation Method) による計測手法を提案し, その適用性を検討した。事業完了19地区を基に分析した結果, 第1に, 農村公園のCVM評価額は, 有効回答数の極端に少ない地区を除き, 調査・分析段階での変動可能性が低く, 評価の安定性が期待できること, 第2に, CVM平均評価額は, 最大提示額による切断平均値をそのときの受諾率で修正して求めるとともに, アンケート調査の設計段階から個人の所得や属性を考慮して分析できるよう配慮することが事業地区への適用上望ましいこと, 第3に, 受益範囲の設定が費用便益分析結果に大きく影響するので, 例えば, 類似公園の立地状況から地図上で受益範囲を制限する方法が有効であること, 最後に, CVMによる農村公園の便益は, 整備内容を規定する事業費との相関が低く, 現在の土地改良事業計画で行われている環境整備効果を整備費で代替する手法が不十分なこと, が明らかとなった。
抄録全体を表示