抄録
本研究では, 通水孔構造の拡大程度の違いが土壌懸濁水の流量に与える影響について比較検討した。また北海道女満別に位置する浸透性沈砂池に通水孔構造の異なった有孔暗渠管を埋設し, 各々の暗渠管からの排水量を比較して, 流れ方向に向かって半径が拡大する拡大径型の通水孔を持った暗渠管の有効性を現地で検証した。
通水孔構造による土壌懸濁流の変化を調べた結果, 一定半径の通水孔と拡大構造の通水孔において明確な差が生じ, 全体を通して拡大構造の通水孔を通過する流量は一定半径の通水孔を上回る傾向が見られた。また現地の浸透性沈砂池において流入水と暗渠排水の流量を調べた結果, 浸透性沈砂池への懸濁水の流入開始から4時間までは拡大径型の暗渠排水量は一定径型と同程度であったが, 5時間経過後, 拡大径型からの暗渠排水量は一定径型を大きく上回る結果となった。これらの結果より, 暗渠排水機能の低下を最小にするため, 拡大径型の通水孔構造を持っ有孔暗渠管の有効性を評価できた。