農業土木学会論文集
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カワホリ・カワ掃除からみた農業用排水と用排水路の所有・利用・管理関係
滋賀県湖北地域を事例に
野口 寧代堀野 治彦三野 徹
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2002 年 2002 巻 219 号 p. 427-435

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抄録
農村には集落内水路と水田用排水路が存在する.そのうち, 水田用排水路の管理労力を農家だけでは賄いきれず, 今後誰が管理主体となるかという問題が顕在化しつつある.琵琶湖に面する滋賀県高月町を対象に, 農業用排水路の掃除を通して用排水と用排水路の所有・利用・管理関係をみることで主に次の結論を得た.(1) 集落間を流れる農業用排水は上流集落では生活用水, 下流集落では生活用水と灌漑用水として利用されていた.利用の面に関していえば, 生活用水などの地域用水は灌漑用水に内包されていた.(2) 用排水と用排水路の所有や管理の主体は, 用排水を生活用水としてのみ利用する集落ではなく, 灌漑用水として利用する権利をもつ集落だった.(3) カワホリという管理には, 所有権の認知・周知という意味合いがあったと考えられ, 現在のカワ掃除にも少なからず残っている.
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© 社団法人 農業農村工学会
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