2016 年 36 巻 140 号 p. 24-28
近年,広告業界でデータの重要性が増している.その背景には,ビッグデータという言葉が浸透しているように,技術の発達によって人々の社会の中のいたる場面で,様々なデータが収集されるようになったことが考えられる.広告の目的は,コミュニケーションによって課題を解決することにある.データを用いた表現,データの可視化は,現実に起こっている事象をもとに行われるため,これまでにできなかったような課題解決を可能とする新たな手法として注目されている.しかし,コミュニケーションのターゲットとなる人々は,多くの場合一般の生活者であり,データを読み解くスキルを必ずしも持っているわけではない.そのため,必要な情報が理解しやすく表現されている必要がある.本稿では,3つの事例をもとに,コミュニケーションにおける課題解決のための可視化にとって編集と翻訳が重要であることについて述べるとともに,可視化を用いたストーリーテリングについても触れる.