抄録
アンカースラブ上面が傾いた拡底基礎アンカーの拡底角度が, アンカー引抜き荷重に及ぼす影響について, 1g重力場におけるモデル実験および有限要素解析から検討を行った.実験は, 拡底角度が異なる6種類の円形拡底アンカーを使用し, 豊浦標準砂を用いた密詰め地盤において, 地盤積上げ高さ (h)とアンカー直径 (D)との比 (h/D) が2について行った.有限要素解析は, 進行性破壊を考慮できる勇断帯・ひずみ軟化を考慮に入れた弾塑性有限要素解析を用い, 実験に対応させた軸対称問題での解析を行った.その結果, 実験および解析結果とも, 拡底角度60度から70度付近で引抜き荷重が最大となることが明らかとなった.この原因を, 引抜き荷重と変位との関係, および勢断帯の発達過程の面から検討を行った結果, 地盤の進行性破壊の差異が原因であることが明らかとなった.