抄録
農業・農村の持つ多面的機能を個別機能ごとに経済評価することに関心が集まっている. それを可能とする手法の1つとして選択実験がある. 選択実験はCVMと同様に質問紙調査からデータを得る. ところが, 人間は同時に7つより多い項目を一度に評価することが困難なため, 質問紙調査を通じて多数の個別機能を同時に評価することは難しい. 本稿では, 選択実験による多面的機能評価において, 評価対象とする個別機能を回答者による各機能の重要度評価により絞り込む手順を提案し, 茨城県土浦市の一般世帯を対象として適用可能性を検証した. 評価対象とした多面的機能は, 洪水緩和, 地下水かん養, 土壌流亡抑制, 保健休養, 生物保全, 景観管理, 水環境保全, および有機性廃棄物処理の8機能である. 重要度評価から上位に評価された機能は統計的に有意な結果が得られたものの, 下位に評価された機能については観測値数が少ない場合には有意な結果が得られにくいことが示された. 本稿で提案した手順を活用するためには, 予備調査の結果から本調査に必要な観測値数を推定する必要がある.