ハウス化率がファームポンドおよび配水施設の必要容量に及ぼす影響を明らかにするため, ハウス化率が異なる畑地灌漑地区において水利用の実態調査を行つた. はじめにファームポンド貯水容量の経時変化を実測し, 調整容量と日配水量を算定した. しかし, 実際の水利用状況は, ファームポンドの調整容量や配水施設容量の制約を受けている場合があるため, これら水利用の実測データからハウス化率の影響を明らかにするのは困難である. そこで, 日配水量に対する調整容量の比を示す
aおよび水利用の時間的集中度を示す
Fの2種類の指標を提案し, 日配水量が出来るだけ大きく, かつ水利用の制約が生じていない場合の
aと
Fの値を推定した. その結果, ハウス化率の高い地区で
aと
Fは大きな値を示した. このような水利用の集中状況を, 実際には制約が生じている日配水量の大きい場合にも実現できるような必要水量を検討したところ, ハウス主体地区では約40m
3/haとなった.
抄録全体を表示