抄録
粘土質ほ場において, 暗渠疎水材もみ殻の腐敗の実態とその要因を解明するとともに, これが暗渠渠溝の空洞化や排水能力に及ぼす影響を明らかにした.粘質なグライ土を主とする水田38ほ場において, 暗渠疎水材のもみ殻を採取し, アルカリ分解損失率 (腐敗度の指標), 土粒子混入率, 現場乾燥密度を測定した.腐敗の進行は地区により異なったが, 田畑輪換がもみ殻の腐敗に及ぼす影響は, 小さいことが明らかになった.また, 腐敗度や土粒子混入率は, 時間の経過とともに増大するが, 腐敗や目詰まりに起因する重大な通水性の低下は認められなかった.空洞は, 腐敗によって密度が低下したもみ殻層が圧縮されることによって起こり, 最短で施工後8年で発生し, 12年を経過した圃場では多発していた。渠溝幅の縮小が著しいほ場では腐敗が進行しても空洞が発生しにくい傾向が見られた.