抄録
症例は50 歳女性.2 週間以上持続する微熱,咽頭痛を主訴に当院を受診し,精査を行ったところ肝機能異常,肝脾腫を認めた.自己免疫疾患の可能性を考慮し各種自己抗体など測定したが明らかな異常はなかった.しかし,入院後に汎血球減少を認めたために血液疾患の可能性を考え骨髄・末梢血塗抹標本を観察したところ,マクロファージの血球貪食像を認めた.これらのことから血球貪食症候群と判断しステロイドによる治療を開始した.治療開始後は肝機能異常,汎血球減少は徐々に改善し,肝脾腫も縮小傾向を認めた.全身状態も良好となったため治療開始から2 週間後に退院した.頻度は高くないが,不明熱をきたす疾患として血球貪食症候群の可能性を考える必要はあると思われた.