抄録
今まで, ひとつの生物処理方法として, 高温好気法 (TOP) を用いて, さまざまな有機廃棄物の処理に関する研究を行った.以前の研究によると, 生ゴミ処理の場合には, 杉チップが担体に適し, 温度管理によって分解能力が22.77kg・m-3・day-1まで高められることがわかった.本研究では, 含水率の変化をもとに, 通気率が生ゴミ処理に与える影響について研究し細胞自然固定という薪たな視点を提案した.そして, 生物反応器活性回復について試験をした.その結果, 以下の点が明らかになった.(1) 通気率はTOPによる生ゴミの処理に大きな影響を持つ: 通気率が低いと, 生物反応器内に酸素不足を招くが, 通気率が高いと, 熱量損失を起こし, かつ, 運転コストも高くなる. 本試験では, BOD体積負荷 (BVL) が4.0kg・m-3・day-1の場合, 適正な通気率は0.10m3・m-3・min-1であった.(2) BVLが4.0kg・m-3・day-1と通気率が0.1m3・m-3・min-1の場合, 含水率は45.6%から38.4%へと変化するとともに, 生ゴミ処理率は88.4%と高くなった.(3) 反応熱により水分が蒸発するので, 生物反応器内部の含水率は約40%で安定していた. 更に, 投入を中断すると, 15日以降60日まで, 含水率はほぼ31.8%と一定であった.(4) 投入を再開すると, 適正な操作条件 (通気率が0.1m3・m-3・min-1と含水率が50%であった) で生物反応器内の温度が5時間後室温の5℃ 以上に上昇し26時間後50℃まで戻った一生物反応器内の微生物活性は効果的に回復した.