抄録
本論文では, 面積12.82haの山林小流域において, 10分間隔の流量と15分間隔の水質値を用い, 約6.2ケ月の期間について種々の推定方法により負荷量を算出し, その精度について議論を行った. 対象とした水質項目は溶存イオンのCl-, K+, Na+である. 全期間を対象に, 等間隔サンプリングを前提として, 単純平均法, 流量加重平均法, べき乗型のLQ式による方法, 直線型LQ式による方法を用いて負荷量を算出・評価した結果, 直線型LQ式による推定が最良であることが示された. 降雨イベント単位の負荷量の良好な推定のためには, 等間隔サンプリングではなく流量変化を考慮したサンプリングが有効であること, 全期間中の降雨時流出負荷量の推定法として提案されているΣL-ΣQ法とL-R法は, 調査対象流域においては, 週1度の等間隔サンプリングよりも精度の面において劣ることが明らかとなった.