抄録
サブ・サハラ・アフリカの多くの国では, 効率的かっ持続的な灌漑のために農民参加型水管理の導入が試みられている. そこでは財源となる水利費の徴収と運用が極めて重要である. しかし農民の水利費支払いのインセンティブは低く, 徴収率の低下が問題となっている. 本研究は, 日本の協力により西アフリカガーナ国で1997年から7年間実施された「灌漑小規模農業振興計画」が取り上げた2つのモデル地区を対象に水利費の管理に関する調査を行い, これらの地区に, 徴収率の高低など水利費管理に対照的な違いが生じていることを示し, その原因を分析した. そして, 水利費の徴収率を高めるためには, 組合活動と資金管理の透明性を保つことで水利費支払いの必要性意識を高めることに加え, 水利費の一部を営農活動として運用するなど, 水利以外の外部条件の利用も効果的であることを示した.