農業土木学会論文集
Online ISSN : 1884-7234
Print ISSN : 0387-2335
ISSN-L : 0387-2335
岩木川取水堰の全面越流型階段式魚道における魚類等の遡上と水理特性
泉 完伊東 竜太矢田谷 健一東 信行
著者情報
ジャーナル フリー

2006 年 2006 巻 245 号 p. 737-746

詳細
抄録
青森県の一級河川岩木川本流の河口から約55km上流に設置されている岩木川取水堰 (幅150m) の全面越流型階段式魚道において魚類等の現地遡上調査と魚道内の水理特性を検討した.全面越流の状態で魚道を遡上した魚類等は20種類おもにウグイ (58%), アブラハヤ (24%), アユ.オイカワ (5%) でサケも遡上した.魚道を利用する魚類等の1日における遡上数が多い時間帯は, 河川水温の高い正午過ぎから20時頃までであり, 青森県内の中流部に位置する魚道の既往の遡上調査結果と極めて類似する結果を示した.一方, 遊泳魚は潜孔も利用することがわかり, 潜孔は魚類等の有効な通過施設であることがわかった.魚道プール内の水理特性について, 3次元合成ベクトル流速と2次元合成ベクトル流速分布で流況を明らかにした.プール中央部では特有の大きな回転流域が形成され, その空間域の流速変動は合成標準偏差が10-15cm・s-1と他の領域に比較して小さい静穏領域を形成していることがわかった.
著者関連情報
© 社団法人 農業農村工学会
前の記事 次の記事
feedback
Top