農業土木学会論文集
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木本が侵入した耕作放棄田の復田コスト
新潟県上越市大島地区を事例として
有田 博之大黒 俊哉
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2007 年 2007 巻 249 号 p. 247-254

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抄録

わが国の農地政策は, 短期的には米の構造的過剰を抱えながらも, 長期的な食料需給の不安定性に対応しなければならない.こうした困難の解決策として, 筆者等は耕作放棄田を粗放管理することによつて何時でも利用可能な状態で維持する方法を提案している.本論では木本が侵入した耕作放棄田の利用可能性を経済的視点から評価するため, 伐木試験による事例調査を実施し, これらに基づいて復田コストと放棄年数の関係の変化をモデル化した.結果, 以下の点を明らかにした.(1) 復田コストは, 木本の侵入圃場の方が草本のみの圃場を, 乾性圃場が湿性圃場を上回る.(2) 復田総費用は, 数十年間の長期の放置後に復田する方法と, 毎年の粗放管理によって利用可能な状態を維持管理し続ける方法の間に大きな差はない.

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© 社団法人 農業農村工学会
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