わが国の農地政策においては, 短期的には米の構造的過剰を抱えながらも, 長期的な食料需給の不安定性に対応しなければならない.これに対する解決策として, 筆者等は農地をいつでも利用可能な状態で粗放的管理する方法を提案している.本論ではこうした観点から, 耕作放棄田への木本侵入の実態調査に基づき, 木本の大型化を防止しながら粗放的に管理する方法の提案を試みた.侵入した木本には以下のような特性が認められた.(1) 先駆型の樹種である.(2) 樹種は, 乾性圃場と湿性圃場とで大きく異なる.(3) 木本の個体数・体積は, 乾性圃場が上回る傾向がある.これらをもとに, 木本を排除しながら簡易に耕作放棄田を管理する方法を検討した結果, 毎年の休閑耕等による攪乱の継続が効果的な方法と考えられた.