継手構造管路では, 管路内の各継手が伸縮・屈曲することにより, 軟弱地盤地帯における不同沈下や地震時の地盤ひずみなどを吸収し, 管路の安全性を高めている. このとき継手の伸縮余裕については, 初期屈曲を考慮した値で耐震設計を行い安全性が照査されているが, 実際の地震動によって各継手が受ける伸縮・屈曲変化を実地に調査した事例は非常に少ない.
本論では, 継手の伸縮余裕を評価することを目的として, 幹線系パイプラインの被災記録を分析するとともに, 模型管路による加振実験を実施した. その結果, 地震動による継手伸縮変化はバラツキを有するが地震後においてもその平均値は偏移しないこと, 継手間隔の初期不整や屈曲による影響は小さいこと, 直線部と比べて異形管や構造物ぎわで特に変化が大きく構造上の弱点となることを確認した. また模型管路による加振実験からも実管路の継手挙動と合致する傾向を得た.