抄録
農業用ダムでは長期にわたって供用されてきたフィルダムが多く, その機能診断が重要な課題となっている. 本論では, フィルダムの機能診断のうち, リップラップ材調査の省力化を目的として, 画像解析によるリップラップ材の現状把握手法を開発した. デジタルカメラで撮影されたカラー写真のRGBデータを用いて, 最尤推定法と最大事後確率を用いて石部と影部を区別し, 石部を塊毎にグループ分けする手法を開発した. これにより, リップラップ材の粒径分布を推定できることを示した. また, 岩級分類した一部のデータを用いて, RGBデータから最尤推定で分類を再現することも試みた. その結果, 現地で把握したデータとは若干異なるが, 十分参考となるデータを抽出できることが分かった.