抄録
改正土地改良法が施行され, 環境との調和に配慮した土地改良事業が望まれるようになった. しかし, 例えば, 環境配慮型の圃場整備事業は未だ実績が多くなく, その効果を検証した例は少ない. そこで, 国営事業としては先駆的に行われた滋賀県木之本町黒田集落付近の環境配慮型用水路を対象に, 同水路によって魚介類の生息状況や通水機能がどのように影響を受けているのかを検証した. その結果, 環境配慮型水路は少なくともベンチフリュームのような従来型のコンクリート3面張り水路よりは, 魚介種の多様化や個体数の確保に寄与していることが確認された. しかし一方で, 漏水量や粗度係数の増加など通水面での問題もみられることがわかった.