農業農村工学会論文集
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農業用の小河川, 農業水路および河川間に形成された水域ネットワークにおけるウグイの移動
栃木県西鬼怒川地区における事例
守山 拓弥藤咲 雅明水谷 正一後藤 章
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2008 年 2008 巻 254 号 p. 85-94,a1

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抄録
水田水域の魚類相保全には, 水田や小溝, 農業水路, 河川などの間の水域ネットワークを維持することが重要であると指摘されている. 本研究では栃木県西鬼怒川地区の谷川, 九郷半用水, 内川, 西鬼怒川において, 魚道により構築された水域ネットワークでのウグイの移動を調査し, 水域ネットワーク構築の重要性について検討した. その結果, 他水域より谷川へ移入した個体の繁殖を確認し, 水域ネットワークの構築が谷川のウグイ個体群の保全に寄与している可能性が挙げられた. また, 谷川に造成した人工産卵場で移入個体以外の繁殖が多く確認され, 移動していない個体が多いことから, 谷川内に定住的に生息する個体が多数いると考えられた. 以上から, 農業水路での魚類の保全には, 水域ネットワークの構築と農業水路内における定住的な個体の保全が重要であると考えられた.
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© 社団法人 農業農村工学会
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