抄録
ボルトランドセメントと石灰は建設材料および軟弱地盤の改良材として不可欠なものであるが, その製造過程において大量の二酸化炭素を排出するといわれている. そこで, セメントと石灰の使用量を減少させ, 結果として二酸化炭素の排出量を減少させることが可能な新しい建設および地盤改良材が強く求められるようになってきた. 近年, ジョセブ・ダビドビッツによって人工アルミノ珪酸材料に属するジオポリマーが開発され, 主にボルトランドセメントの代替材料として重金属によって汚染されたスラッジの固化処理に使用されている. しかしながら, 掘削水路などのライニング用建設材料としての軟弱粘土の力学性改良のためのジオポリマーに関する研究はこれまでのところほとんど行われていない.
本研究においては, フライアッシュと呼ばれる石炭灰をフィラー (充填材) として使用した. また, 溶液状の珪酸ナトリウムをアクティベータ (活性材) として使用した, ジオポリマーは, これらのフィラーとアクティベータを混合することによって得られ, 佐賀平野の劣化したクリークからの掘削泥土と混合することによって軟弱有明粘土の固化処理に用いた. 固化特性を明らかにするために, フライアッシュをベースとしたジオポリマーの混合割合を様々に変化させた泥土の力学的および化学的特性について検討した. また本研究においては, 発電所から産業廃棄物として排出されるフライアッシュを有効利用し, 資源としての再利用を図ろうとするものである.