抄録
高等学校の普通教科「情報」が来年度よりいよいよ実施される。その内容をみると、コンピュータやネットワークのテーマが中心である。高等学校で教える教科のほとんどは、それらが根拠とする諸学が存在する。新教科「情報」はいかなる学が基礎となっているのであろうか。内容からは、強いていえば、コンピュータ・サイエンスであるが、わが国では、コンピュータ・サイエンスが学として認知されてはいない。「情報」にそれ以上のものが込められているのも事実である。「情報学」がその支えとなるべきだと考える意見は多い。しかし、情報学は、まだ明確な定義を与えられているとはいい難い。この問題を考えるにあたり、諸学を二つの異なるタイプに分けて考える、新たなアプローチのスタンスを本稿で提案してみたい。