2007 年 18 巻 1 号 p. 4-21
従来用いられている引用に基づく研究貢献度指標(被引用数,被引用率,引用因子)は,評価対象のマクロな数量から導出され,被引用-引用行列に見られるミクロな情報が失われている.本論では,ミクロな情報を考慮に入れた国の研究貢献度指標としてNational Contribution (NC)を提案した。論文レベルでの国iから国jへの貢献素量(cij)を定義し,cijから導出される規格化被引用-引用行列の固有ベクトル解析により,各国のNCが得られる.NCは引用因子(C/C')と相関係数が高く類似した指標である.図書館情報学分野の4雑誌に掲載された論文を標本とした分析から,NCはC/C'より「貢献度の高い国からの引用は貢献度が高い」ことを反映した指標であることを示した.