抄録
エレベータと階段の軽微な事故・ヒヤリハット現象を対象にその時間的増減と組織としての障害者対策との関連を調べた。その結果、階段やエレベータで日常的に軽微な事故やヒヤリハット現象が起きる事は組織として高所での障害者の有事の際の避難方法を検討する必要があるという警鐘であり、その事例数は警鐘としての強さを表す事、ヒヤリハット現象を利用する事によって組織としてその対策に取り組むべき適切な時期がわかる可能性を明らかにした。そして、この警鐘としての性格について検討し、必要な視点を欠く事によって予想される事態とそうならないようにするための警鐘とが完全合理性についてフラクタル構造を持っている可能性を示した。今回は再現性よりも、警鐘およびその警鐘の内容を読み取れる可能性を重視し、ヒヤリハット現象を警鐘という観点からも考えてみる事が広まる事を期待してとりあえず一回の警鐘の増減をもってこの仮説を公表した。