2016 年 16 巻 01 号 p. 68-83
本研究では韓国の小学3 年生の英語の教科書に付随したデジタル教材「ELEMENTARY SCHOOL ENGLISH3 e-教科書」と日本の外国語活動のテキストである「Hi, friends!1」のデジタル教材を語彙お よびコンテクストの面から調べ,以下のことを明らかにした。第一に,「ELEMENTARY SCHOOL ENGLISH3 e-教科書」のS-TTR の値は「Hi, friends!1」よりも低かったことから,「ELEMENTARY SCHOOL ENGLISH3 e-教科書」のほうが同じ語彙を何度も繰り返していることが明らかになった。第 二に,発話当時者の国籍については,「ELEMENTARY SCHOOL ENGLISH3 e-教科書」はほとんど不明がなくコンテクストが把握しやすい一方,「Hi, friends!1」では約3 割が不明であり,コンテクストを特定化しにくいことが明らかになった。発話場所においても「ELEMENTARY SCHOOL ENGLISH3 e-教科書」では,若干の偏りはあるものの学校,戸外,家の場面が万遍なく登場し偏り がなかった。一方,「Hi, friends!1」では対話がどのようなコンテクストで起こっているかの場面設定がわかりにくかった。第三に,対話を構成するターン数に関しては「ELEMENTARY SCHOOL ENGLISH3 e-教科書」は「Hi, friends!1」よりはるかに多い一方,総じてターンを構成する発話の種 類の割合はあまり差が見られかった。しかし,各レッスンにおいては前者では各項目のターンの構成が一定であったが,後者では一定ではなかった。