抄録
企業組織の存続や成長にとって、人的資源の効果的な活用は重要である。近年のグローバル化を受けて、人的資源管理は、より合理的で、科学的な方向性を志向しているように見える。そこで、ある管理職研修の効果検証結果について紹介しながら、今後日本企業がより科学的な人的資源管理を目指す際に、どのようなやり方がありえるのか、またどのような課題があるのかといったことを述べる。 さらに後半では、効果検証の際に結果変数としてよく用いられる自己評価や上司評価の扱いについて、また施策と結果の間のプロセスや個人と環境の相互作用を考慮することの重要性について、それぞれ関連する研究を引きつつ、論じる。最後に、研修にとどまらず、さまざまな人事施策の効果検証を行う際に考慮すべき点と、IT技術の活用による今後の可能性について述べる。