情報知識学会誌
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地籍情報学
大槻 明
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2019 年 28 巻 5 号 p. 356-359

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抄録

 地籍情報は土地の戸籍とも言うべきものであり,我々国民の不動産(財産)の権利の客体を具体化できる唯一無二の情報である.登記申請された情報を基に法務局に備え付けられる地図のことを不動産登記法第14条第1項地図(法第14条地図)といい,これは地籍情報の一つに位置づけられる.しかし,平成27年度の時点で,全国の法務局において法第14条地図が整備されているのは約51%にとどまる.例えば,災害が起き,災害復興復興(現場復元など)をする時に,法第14条地図が無い地域では自治体による区画整理が行われてしまう可能性があり,現状の法第14条地図の整備状況は極めて由々しき状況にあるといえる.ゆえに,本稿では,まず地籍情報の重要性について述べ,次に,情報知識学の一つと位置付ける地籍情報学について述べる.具体的には,地籍情報の蓄積,管理及び利活用に関して,技術的及び法的な観点など様々な要因から体系的に議論する形で,地籍情報を国民社会に活用する将来に向けた一考察を行うことの重要性を説く.

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