石川県金沢市には加賀友禅と呼ばれる着物制作を中心とした伝統的な染色技法がある.その伝統工芸もまた加賀友禅と呼ばれる.著者はあるきっかけで友禅作家の一人と交流をもち,その友禅作家のご厚意で彼の加賀友禅の図案(デザイン画のこと;意匠ともいう)を電子データ化する機会に恵まれた.本稿では著者が進めている加賀友禅図案のデジタルアーカイブ化の試みを報告する.合わせて,著者自身の研究経験をもとに,データサイエンス時代にデジタルアーカイブが秘める価値について著者の考えを論じる.デジタルアーカイブに有用で機械可読なメタデータを付与することで,データサイエンス分野との直接・間接的な連携が生まれ,その活用がアーカイブ自体の価値をさらに高めると思われる.