情報知識学会誌
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計量文体学を用いた喜劇性と悲劇性の抽出
白鳥 孝幸村井 源
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2020 年 30 巻 2 号 p. 276-282

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抄録

 「ハッピーエンド」と「バッドエンド」は物語における最もメジャーなカテゴライズであるが,これまでの研究においてそれらに関する計量的な分析はほとんど行われていなかった.本研究では,乙一の短編小説における喜劇性と悲劇性の抽出を目指した.まず,対象データを3 ジャンルに分類し,分類語彙表に基づいた新たな極性辞書を作成した.また,極性辞書を用いてテキスト中の極性語を抽出した.そして,抽出した極性語から,階層的クラスター分析と重回帰分析を用いて,ハッピーエンド作品とバッドエンド作品における特徴の抽出を試みた.その結果,物語の終盤四分の一における「好・愛・敬」にカテゴライズされる極性語がハッピーエンドに寄与していることが明らかになった.また,物語の終盤四分の一における「悲・哀」にカテゴライズされる極性語がバッドエンドに寄与していることが明らかになった.

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