論文ID: 2020_010
本研究では,違法ダウンロードの実態をより正確に把握することを目的に,日本の大学生を対象に質問紙調査を実施した.「違法ダウンロード経験の有無」について,直接的に経験の有無を問う質問紙と,回答者の回答内容を調査者にも分からないように設定し回答の匿名性を高める手法である間接質問法を用いた質問紙を用意し,両手法間で「経験がある」と回答する割合にどの程度の差がみられるかを比較した.分析の結果,直接的に質問した場合「経験がある」と回答した人の割合は29.1%,間接質問法を用いた場合「経験がある」と回答した人の割合の推定値は57.0%であり,その差は27.9%であった.本研究の結果は,直接的な質問方法を用いている既存の調査で示されるよりもはるかに広く違法ダウンロード行為が行われていることを示すものであると考えられる.