情報知識学会誌
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Floridiの情報倫理フレームワークの応用可能性に関する理論的検討:功利主義の視点から
大沼 太兵衛
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論文ID: 2025_005

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抄録

 Luciano Floridiが現代の高度情報社会における包括的な規範倫理として展開する情報倫理(Information Ethics, IE)の理論は,情報関連分野における倫理をめぐる議論において影響力を強めつつある.本研究では,その理論的フレームワークを図書館等の応用領域において実装するための方法論について考察を行った.まず,応用の観点から解決されるべきIEの理論的課題を,①基本原則の直接適用の困難性,②定量的把握の困難性,③善悪概念の具体的内容の曖昧さ,の3点に特定した.次に,既存の規範倫理理論のうち功利主義に着目し,IEの有する功利主義的側面を踏まえて規則功利主義の考え方を援用することで,上記課題の解決が図られることを示唆した.結論として,IEの倫理原則に,①二次的規則,②定量的観点,③分配の観点を導入することにより,IEの倫理原則を実装に繋げる可能性を提案した.

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