日本国際看護学会誌
Online ISSN : 2434-1452
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フインランドのA高齢者介護施設における感染対策の実態調査
及川 菜保松永 早苗
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2019 年 2 巻 1 号 p. 1-7

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抄録
目的:
本研究は、フィンランドのA高齢者介護施設における感染対策の状況と入居高齢者の感染症羅患の実態を把握し、フィンランドA施設の感染対策の特性を明らかにすることを目的とした。
方法:
研究対象は、研究の目的や方法に同意を得たフィンランドのA高齢者介護施設の施設長と、A高齢者介護施設の職員とした。世界保健機関(WHO)並びに日本、米国、ョーロッノぐの感染管理ガイドラインを参考に感染対策のチェック用フオームを作成し、聞き取り調査、職員のケアに同行して感染対策の遵守状況について観察調査を行った。得た結果は、 Excelにて記述統計した。スタッフの同行調査から得られた結果は、感染対策の遵守率を算出した。本研究は、宮城大学研究倫理専門委員会の承認を得た。
結果:
A高齢者介護施設では、感染対策委員会が設置されており、感染対策マニュアルを作成し、定期的に改訂がされていた。施設の感染対策は、勤務年数15年の経験豊かな看護師が担当し、常時より職員へ感染対策の指導を行っていた。A高齢者施設において感染対策に必要な物品は、完備されていた。医療・介護職員の感染対策の遵守状況は、マスク着用の遵守率21.2%、エプロン・ガウンの着用率69.7%、処置後の手指衛生87.9%、処置前の手指衛生97.0%、手袋を外した後の手指衛生、適切な手洗い方法の選択、手袋の着用率、他患者へ移る際の手指衛生、清潔な環境の維持が100%であった。
考察および結論:フィンランドのA高齢者介護施設における感染管理の体制は、十分に整備されていたことが分かった。フィンランドA高齢者介護施設の医療・介護職の感染対策の遵守率は、先行文献である日本のB県の高齢者施設における感染対策と比較して、相対的に高かった。その要因として、A高齢者介護施設では経験豊富な看護師が感染対策を担当しており、平常時より施設の感染管理に従事し、職員へ指導ができる立場にあった。さらに、感染対策を担当する看護師が感染対策の要となり、フィンランド政府からの資金面での支援を効率的に活用し、感染対策に必要となる物品を揃えていた。
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