日本国際看護学会誌
Online ISSN : 2434-1452
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インドネシア・ロンボク島における映像を使用した高齢者体操の推進活動について
柳澤 沙也子 戸田 登美子丸 光惠中村 安秀
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2019 年 2 巻 1 号 p. 18-26

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抄録
背景および目的:筆者は2015年10月から2年間、青年海外協力隊看護師隊員として、インドネシア共和国西ヌサテンガラ州中部ロンボク県保健局に派遣された。派遣目的は地域看護活動の活性化支援であった。県内にあるA 保健センターでは、看護師達が疾病予防を目的として健康教育や体操教室を実施していた。体操教室は週に1回A保健センターにて看護師により高齢者を対象として実施されており、内容は約30分間にわたるエアロビクスであった。体操教室は高齢者にとって健康増進のための貴重な機会となっていたが、参加した高齢者はエアロビクスの運動強度に対応できず、疲労を感じ体操を中断する姿が少なからず観察された。また、A保健センターから自宅が遠い高齢者は体操への参加が困難であった。これらを解決するために新たに高齢者を対象とした体操を開発、映像化し、地区レベルで実施される既存の高齢者健診で活用した。この高齢者用に開発した体操と映像化、および実施状況について報告する。
方法:A保健センター看護師達および筆者は、新たに約5分間の体操を開発し、映像化した。このツールを既存の高齢者ポシアンドゥ実施時に使用した。
結果:新たに開発し映像化した体操は、既存の30分間の複雑な体操を単純化したもので、高齢者が自身の体力に合わせて立位または座位にて実施できる。そのため、体操に参加した高齢者は体操の実施時間および内容は適していた。自宅近隣で実施されたため、A保健センターから遠い近隣住民や高齢者の家族も体操に参加した。体操は好評で、今後も実施してほしいとの声があがった。体操を開発したA保健センター看護師達は開発した体操と映像の効果を実感したことから、映像および体操を広めた。
考察:新しい体操は、高齢者の身体能力に合わせた適切な体操となり、高齢者に受け入れられた。近隣住民も含め体操に参加する機会を得ることができた。また、A保健センター看護師達にとっても映像作成が刺激となり、県内で積極的に体操を広めた。今後、体操教室の継続および長期的評価が必要である。
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